徒然なるままに①
シーリングライトから伸びる白い紐を2回引く。
オーダーメイドの枕に首を合わせる。
暗闇の中目を閉じて願うことは、
足先が早く温まることと、
暖かい夢の中にいち早くたどり着くことだ。
頭の上で秒針の音が嫌に響く。
この夜を越えても、
きっと
明日も明後日も
そのまた明日も明後日も、
同じような願いを繰り返してはいつの間にか夢に飛ぶ。
そして朝になれば、
聞き慣れた耳障りな音が、
布団の中の生ぬるい現実に引き戻してくれる。
その繰り返しを、
その夜を超えることを、
次の朝を迎えることを望めなくなったこの心を置いて、
この頭は、
その繰り返しを、
その夜を超えることを、
次の朝を迎えることを守り抜こうと必死に必死に動いている。
明日が来るかなんてわからないのに
望まずとも来るであろう何千の夜を思っては
布団の中で不満を言っている。
傲慢だ、と呟いてみる。
豚に真珠、猫に小判、私に人生。
ごめんね、全部。
ごめんね、明日。
明日も私は今日のまま。
何も変わらず、
舌打ち混じりにあくびをしながら、
瞑想と称して二個目の夢を見る。
どうかいつか、
明日を待てる日が来ますように。
頭の上の秒針が次第に遠くなっていく。